
- 男性が女性より大きくなる理由は、「エストロゲン」という女性ホルモンにあった
- エストロゲンの分泌量のピークが女性で早く、男性で遅いことが成長期間の違いを生んでいた
人の平均身長は、世界各国で違いますが、どの社会でも男性が女性より大きくなる傾向が見られます。
こうした男女間の体格差は、暗黙の内に理解されていながら、その明確な理由は分かっていませんでした。
イギリスの著名な自然科学者であるチャールズ・ダーウィンは、1871年の著書『人間の由来』の中で、「男女間の体格差は、性淘汰が主な原因である」と述べています。
性淘汰とは、異性をめぐる争いを通して生じる進化のこと。
つまりダーウィンは、女性をめぐる争いの中で、体が大きく頑丈な男性が勝ち残り、その遺伝子が脈々と男性の子孫に受け継がれたと主張します。
しかし、米・ロードアイランド大学の最新研究により、まったく別の生物学的理由が浮上しました。
それによると、男女間の体格差は、「エストロゲン」という女性ホルモンが真の原因だったようです。
女性の成長ピークが男性より数年早い
アメリカの統計によると、男女の成長速度は2歳からほぼ同じ曲線をたどり、どちらも13歳あたりで平均157センチに達していました。
しかしその後、女性の成長曲線は水平になり、最終的には平均162センチで停止。
一方の男性は、女性より数年間長く成長を続け、平均177センチまで達しました。
研究主任のホリー・ダンズワース氏は「この傾向には性淘汰ではなく、エストロゲンの分泌量が関係している」と指摘します。
エストロゲンとは、男性では精巣、女性では卵巣で作られており、骨の成長に関与する女性ホルモンの一種です。
このエストロゲンの分泌量は、女性において思春期にピークを迎えます。エストロゲンが急増すると、「成長板」と呼ばれる部分(骨の成長が完全に止まるまで存在する)が成長を始めます。
女児が、男児よりも一足早く身体的成長を迎えるのは、卵巣でのエストロゲン分泌量が増えたからなのです。