鳥に魚卵を食べさせる
仮説の証明にあたり、ÁdámLovas-Kiss氏は最もシンプルな方法を試みました。
魚の卵を500個集め、8羽のカモに食べさせたのです。
食べさせた卵は侵略的外来種として知られている2種類のコイ科の魚(ギベリオブナとヨーロッパ鯉)であり、全て人工受精後に食べさせました。
そしてカモが糞をするのを待ちました。
幸い、予想より早く食後一時間ほどで糞が排出されはじめます。
ÁdámLovas-Kiss氏はさっそく糞から卵を探す作業を開始しました。
結果、6匹のカモから18個の形状的に無傷な卵の採取に成功し、そのうち12個は十分生存に足る状態にあることがわかります。
また興味深いことに、オス鳥はメスより多く無傷な卵を通したことがわかりました(メスの5倍)。
ÁdámLovas-Kiss氏は集めた12個の卵を孵化チャンバーに移し、成長を促しました。
すると、12個の卵のうち2個から稚魚がうまれてきました。
2匹のうち1匹はギベリオブナで、もう1匹はヨーロッパ鯉の稚魚であり、生存率を計算したところ0.2%であることがわかりました。
この数値は決して高くはありませんが、長い時間を考えれば、孤立した湖に卵を運ぶには十分な数値です。
また一部のコイは単為生殖を行うことが知られており、1匹のメスの稚魚から多くの子孫をうみだすことが可能とされています。