食べられることで繁殖する能力は卵の耐久力が進化した結果
今回の研究により、食べられることで繁殖する能力が、脊椎動物でも確認されました。
鳥の体(消化器官)は魚の卵を湖から他の湖に運ぶ箱舟としても機能していたのです。
ですがこの拡散の貢献度は鳥だけにあるものではありません。
近年の研究により、メダカなどの卵は、休眠状態(仮死状態)に入ることで干ばつの間にも無酸素・高塩・乾燥に耐えて土に埋まったまま生き延びることが知られており、以前考えられていたより遥かに高い耐久性を持つことが明らかになりました。
コイの卵が鳥の消化機能における無酸素と高酸性を生き延びて生きたまま排出されたのも、卵の耐久性があってのことなのです。
あるいは、生息地を拡散するために、コイの卵はあえて鳥類に食べられることを前提に進化したと考えることもできます。
そうなれば、コイの卵はカモに短期間・限定条件で寄生していたと考えることもできます。
もしかしたらコイの卵とカモは共生関係にあるといえるかもしれませんね。
研究内容はハンガリー、ドナウ研究所のÁdámLovas-Kiss氏らによってまとめられ、5月27日に学術雑誌「PNAS」に掲載されました。
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/17/2004805117
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