脳のスイッチをオフにして「記憶を削除する薬」が開発される
脳のスイッチをオフにして「記憶を削除する薬」が開発される / 直前の記憶をわずか10秒で抹消する薬が開発された/Credit:Nature Neuroscience
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脳のスイッチをオフにして「記憶を削除する薬」が開発される

2020.07.19 Sunday

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  • 脳細胞の活動をオフにする記憶削除薬が開発される
  • 記憶削除薬はオフスイッチとトリガーから構成される
  • 作業記憶にかかわる脳細胞をオフにすると直前の記憶が失われる

記憶を何度でも安全に消去できる即効性のある薬、DCZ(デスクロロクロザピン)が開発されました。

この薬を投与されたサルは僅か10秒ほどで記憶が失われ、目の前で箱に隠されたエサの行方がわからなくなってしまいました。

またこの記憶消去薬は、サルの作業記憶を司る神経細胞の活動をオフにすることによって効果を発揮します。

にもかかわらず、安全性が極めて高く、効き目も24時間で完全に消えることから、繰り返しの使用が可能。サルから何度でも同じ内容の記憶を奪えました。

この完全にクリーンな記憶削除薬が推理小説の世界に導入された場合、全ての人間の証言から信ぴょう性が失われ、名探偵を悩ますことになるでしょう。

記憶消去には事前の「オフスイッチ」の仕込みが必要

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オフスイッチを作業記憶を担当する脳細胞に仕込む/Credit:Nature Neuroscience

新たに開発された記憶消去薬を作用させるには、事前にペアとなる別の薬が必要となります。

この相方となる薬は化学的に合成された小分子化合物であり、DNAが作る特定のタンパク質を変質させて「hM4Di」と呼ばれる特殊な人工受容体(デザイナー受容体:DREADD)を神経細胞の表面に出現させます。

この人工受容体が出現した神経細胞にDCZが結合すると、その神経細胞は活動が強制的にオフになります。

人工受容体とDCZの関係は「オフスイッチ(人工受容体)」と「トリガー(DCZ)」の関係に例えることもできるでしょう。

次ページサルにド忘れを強制する

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