宿主RNAと寄生RNAの耐性獲得競争がはじまった
試験管内に生じた小さな異変、新型の寄生RNAの誕生した理由を研究者は探りました。
そして驚きの結果が明らかになります。
なんと、これまで寄生されるがままだった宿主RNAが変異を起こし、既存の寄生RNAが使えないような複製酵素をコードするようになっていたのです。
このままでは寄生RNAは増殖できず、培地の継代ごとに数を減らして、いずれは死に絶えてしまうはずでした。
しかし寄生RNAもまた変異を起こし、宿主RNAの耐性に対する耐性を獲得し、再度、増殖できるようになっていたのです。
新型寄生RNAの出現は、耐性と耐性がぶつかり合う終わらない競争が分子の自己複製系という非生物の世界でも開始されたことを意味していたのでした。