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他者に複製能力を依存する寄生型RNAの存在は単一だった宿主RNA配列を異なる種に分岐させた/Credit:東京大学
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物質から生命の進化を可能にしたのは「寄生体」との共進化だった (4/5)

2020.07.24 Friday

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寄生RNAとの耐性獲得競争は宿主RNAを異なる種にわけた

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熾烈な耐性獲得競争の結果種がうまれた/Credit:東京大学

世代を超えた絶え間ない耐性獲得ゲームが続き、生存競争が熾烈さを増していくなかで、少しでも優位を占めようとした宿主RNAが複数の異なる系統に分岐しはじめたのです。

これが分子世界における「種」の誕生でした。

種の誕生は宿主RNAの基本バリエーションを増やしただけでなく、寄生RNAもまた宿主に対応するように系統を多様化させていきました。

そして世代を重ねるごとに枝分かれは加速し、さらに数多くの種がうまれたのです。

そういう意味では、この自己複製システムにとって、寄生RNAの存在は種の誕生の出発点として必要不可欠な存在だと言えるでしょう。

現実の生物の世界においても、新たな種の出現においてウイルスは重要な働きをしていることが知られています。

通常の進化は既存の生物の既存の要素(体の大きさや手足の長さ)を強めたり弱めたりすることで発生しますが、ウイルス感染によって生じる進化は一種の劇薬であり、元となる生物がこれまで全く持っていなかった要素を追加し、外見や身体機能を劇的に変化させます。

有名な例では「胎盤」の獲得があげられます。

それまで陸上動物は卵生でしたが、ウイルス感染によってもたらされた変異は、哺乳類の祖先にこれまで全く要素がなかった「胎盤」を持たせ、胎児を子宮で育てることを可能にしました。

次ページ競争・変異・多様化は生命発生以前から続いていた

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