「性格にあった運動」なら続けやすい?
「運動は心身の健康に良い」ということは周知の事実です。
世界保健機関(WHO)も、成人は週に150分以上の運動を行うことを推奨しています。
しかし実際には、世界中の成人の約8割がこの目標を達成できていません。
では、なぜ多くの人が運動を続けられないのでしょうか?
その要因の一つとして、研究者たちは「運動の楽しさ」の違いに着目しました。
そしてその楽しさが、人それぞれの性格によって異なるのではないかと考えたのです。
「性格特性が運動の楽しさや成果、ストレスの軽減度に影響を与える」という仮定を検証するための実験が行われました。

研究チームは今回、心理学で広く用いられている「ビッグファイブ性格特性(人間の性格を5つの因子で分類する心理理論)」を考慮しています。
- 外向性:社交的でエネルギッシュ、刺激を求める傾向
- 神経症傾向:ストレスや不安を感じやすい傾向
- 誠実性:几帳面で責任感があり、計画的に行動する傾向
- 協調性:他人に優しく、協力的で思いやりがある傾向
- 開放性:新しい体験やアイデアに前向きで創造的な傾向
被験者は一般公募から集められた132人で、うち86人が最終的に研究を完了しました。
彼らは、週4回の様々な強度のトレーニング(サイクリング×3回、筋トレ×1回)を8週間続ける介入群と、軽いストレッチだけを行う対照群に分けられました。
運動の効果は、運動の楽しさ、心肺機能、筋力、心拍数の回復力、ストレスレベル、性格特性などの要素から分析されました。
さらに、被験者はスマートフォンアプリと心拍計を使って、運動の記録や体調管理を行いました。
では性格ごとに、運動の楽しさや効果にはどんな違いが生じたでしょうか。