ビックファイブごとの運動に対する反応が明らかに!
研究の結果、性格によって「どの運動を楽しめるか」「どんな成果が得られるか」が大きく異なることが明らかになりました。
外向性
外向性のスコアが高い人ほど、HIIT(高強度インターバルトレーニング)のような負荷の高い運動を「楽しい」と感じやすいことが分かりました。
これらの人々は心肺能力や運動パフォーマンスも高い傾向にあり、刺激的なトレーニングがモチベーションに繋がるようです。
神経症傾向

神経症傾向の高い人はラボ内での運動や観察下でのトレーニングを好まない傾向にあり、低強度かつ自宅で行う運動により快適さを感じていました。
驚くべきは、ストレス軽減効果が最も高かったのがこのグループだったことです。
運動前のストレスレベルは他の人々と同じ場合でも、神経症傾向の高い人たちは運動後のストレスレベルが大幅に低下していたのです。
研究者は、神経症傾向の高い人はストレスに対する感受性が強いため、運動による「気分転換効果」が大きく表れやすいと考えています。
誠実性
誠実性が高い人は、毎週の運動量が多く、筋力トレーニングの成績も優れており、脂肪率も低いという結果が出ました。
計画性が高く、継続力がある性格がそのまま運動習慣に反映された形です。
協調性
協調性が高い人は、激しい運動よりも「長くゆったりと続ける運動」に好感を示しました。
具体的には、景色を楽しみながら心拍数が上がりすぎないサイクリングなどを好む傾向があり、ストレスを感じにくい環境での運動が合っていると考えられます。
開放性
研究チームが予想外だと述べていたのが、開放性の高い人ほど高強度の運動を楽しめないという結果です。
一般的に「新しいことが好き」とされるこの性格ですが、身体的な刺激や負荷の高いトレーニングには必ずしも魅力を感じないようです。
また、開放性の高い人は、運動そのものを楽しむというよりは、知的好奇心や新しい挑戦に動機づけられて運動に取り組む傾向があるようです。
研究チームはこの特性が運動動機に与える影響をさらに掘り下げる必要があると指摘しています。
限界と意義

もちろん、この研究にも限界はあります。被験者の多くが健康志向の強い人であったことから、結果が全人口に当てはまるとは限りません。
また、性格特性の「下位因子」(たとえば粘り強さや不安感受性など)は考慮されていません。
それでもこの研究は、「運動の継続・成果・楽しさ」が性格によって最適化できることを実証した貴重なデータです。
とくに運動嫌いの人や、健康のために始めたいけれどモチベーションが上がらない人にとって、自分の性格にあった運動を知ることは大きなヒントになります。
運動が苦手だと感じてきたとしても、あなたにあった運動があります。
「頑張らなきゃ」と思う前に、まずは自分の性格に合うスタイルから始めてみることが、運動を続ける第一歩になるかもしれません。