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火を起こすには高度な技術が必要だが天然の鍋は放り込むだけで調理ができる/Credit:Tom Björklund
history archeology

初期人類による最古の料理は「直火焼き」ではなく「温泉を使った煮込み」だった可能性が浮上! (2/3)

2020.09.17 Thursday

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最初のバーベキューの前に存在した天然の鍋

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熱水が湧き出る天然の鍋は24時間調理可能/Credit:depositphotos

研究対象である初期人類の化石の宝庫、タンザニアオルドバイ渓谷で採れた170万年前の地層成分から、興味深い脂質成分が検出されました。

分析の結果、この新たな脂質成分は植物や動物由来のものではなく、イエローストーン公園などでのみられる「Thermocrinis ruber」という種類の細のものだと判明します。

Thermocrinis ruberは80度以上の熱湯の中でのみ生活する超好熱菌として知られています。

この事実は170万年前、初期人類が生活していた環境のすぐ近くに、常に沸騰する「天然の鍋」があったことを意味するのです

当時まだ火を使う術を知らなかった初期人類にとって、これほど調理に向いた環境はありません。

狩りによって捕えた動物や地下から掘り出したイモ類の根は、そのままでは寄生虫に汚染されていたり、硬くて食べるのが困難。しかし煮込むことさえできれば、寄生虫の問題も硬さの問題も解決できます。

そのため研究者たちは、初期人類の歯や腸が脆弱化した背景には、火の使用以前に天然の鍋の使用があったからだと考えました。

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