超流動体の内部で摩擦は存在しないことが判明!
疑問を解消するために、アウティ氏がとった実験方法は極めてシンプルでした。
超流動体になることがわかっているヘリウム3の内部に、上の図のような小さなワイヤーを浸して動かしてみたのです。ちなみにヘリウム3とは通常のヘリウムから中性子が1つ失われた同位体を指します。
もし摩擦抵抗がなければ、ワイヤーを動かすのに必要な力は初速を与えるときにのみ生じるはずです。
そして精密な測定の結果、超流動状態が維持されている範囲において、ヘリウム3の内部でワイヤーは初速を与えれば、まるで真空のように全くの抵抗なく動くことが可能だったと分かりました。
アウティ氏の疑問は「超流動体の中では摩擦抵抗が発生しない」という形で解消されたのです。
しかし、なぜ超流動体の内部では摩擦が存在しないでしょうか?