そもそも超流動とは何か?
超流動とは、一定の条件(極低温)で液体の粘性が消失する現象。超流動を示す代表的な物質として液体ヘリウムが知られています。
通常、ヘリウムは中性子2つ、陽子2つを原子核にした単原子ガスです。ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出るドナルドダック効果などで有名な気体でしょう。
しかし、ヘリウムは絶対零度近くになると粘性が失われた超流動状態の液体となり、原子1個ぶんの穴からでも抜け出す、超サラサラな物質になります。
また超流動体となったヘリウムは、ヘリウム同士よりも他の分子との相互作用が大きいため、上の図のように、ガラス容器のツルツルした壁に対して、這い上がって勝手に零れていく現象が観察されるようになります。
この超流動体の奇妙さに多くの科学者たちが注目し、様々な実験が行われてきました。
そんなある日、イギリス・ランカスター大学のアウティ氏は「超流動体の中で物体を動かした場合、摩擦による抵抗は発生するのだろうか?」と疑問を持ちました。