化学反応が描き出す「生命誕生の木」
このソフトウェアは6つの化学物質からスタートして、可能性のある連続した反応を次々と特定していきます。
それは世代が進むほど、どんどん複雑なツリー構造を描き出していきます。
そして最終的には核酸、脂質、酵素のような生命の構成要素となるタンパク質などを生成し、その経路を明らかにすることができました。
いくつかの化学物質の経路については、すでに判明しているものもありますが、その経路も含めすべて再現されていました。
このシミュレーションの結果には、意外な事実も含まれており、尿素やDNAの構成要素であるアデニン、シュウ酸などは、わずか2回の反応で形成されていました。
また、同じくDNAの構成要素であるシトシン、アスパラギン酸やリンゴ酸など複数の生命に関連する分子も3回の反応で形成されています。
このように生命に必要な分子の中には、信じられないほど迅速に形成されるものがあったのです。
2時間の計算で、「Allchemy」は生物学的分子を82、非生物学的分子を36603生成することができたと研究者は述べています。
研究チームは、ここで明らかになった過程を再現し、いくつかの物質については実験室で実際に合成することもできたといいます。
これはまさに生命が誕生するまでに描かれた化学反応の生命の樹と呼べるものでしょう。