第三の前腕動脈をもつ人が近年増加しているかも
そしてルーカス氏らの研究によると、近年正中動脈をもつ人の割合が増えているとのこと。
実際、2015年から2016年の間に死亡した51歳から101歳のオーストラリア人から得られた78本の上肢からは、合計26本の正中動脈が発見されました。33.3%の人が正中動脈をもっていたことになるのです。
以前のデータと比較するなら、数十年~百年ほどの間に正中動脈を持つ人の割合が10%から30%にまで増加していると考えられますね。
ちなみにルーカス氏は正中動脈の増加傾向の原因について「正中動脈の発達に関与する遺伝子の突然変異や妊娠中の母親の健康問題、あるいはその両方に起因している可能性がある」と述べています。
また研究チームの一員であるチューリッヒ大学進化医学研究所のマチュイ・ヘンネベルク教授は、この傾向が続くなら「世紀末までには誰もが正中動脈をもっているだろう」と述べており、突然変異や遺伝子流動などの微小進化(英: microevolution)との関連性を示唆しています。
もっとも調査データの範囲がかなり狭いため、この傾向は完全に決定づけられるものではなく1つの可能性に過ぎないでしょう。
しかし少なくとも現代の10%以上30%未満の人が正中動脈をもっていることは確かなようです。自分が第三の前腕動脈を持っている可能性も十分ありますね。
今後研究が進めば、より詳細な傾向やその原因が明らかになるかもしれません。