ビッグバン以前の宇宙
宇宙の歴史を辿っていくと、宇宙は非常に小さい領域で起きた巨大な爆発「ビッグバン」から始まったということがわかっていて、現在も宇宙はその時の衝撃によって膨張を続けています。
しかし、いずれその勢いが失われたとき宇宙はどうなるのでしょうか?
一部の科学者は膨張の勢いが止まった宇宙は、宇宙の中にある物質の重力によって再び一点に収縮していく「ビッグクランチ」が起きると考えています。
これはいわば宇宙の終焉と呼べるものです。
ところが、これで宇宙は終わらないという考えがあります。一点に収縮した宇宙は再びビッグバンを起こして膨張し、新しい宇宙が始まるというのです。
宇宙はビッグバンによる膨張とビッグクランチの収縮を延々と繰り返していて、私たちのこの宇宙もビッグバンがすべての始まりではなく、その以前にも同様に宇宙が存在していた可能性があるのです。
しかし、そんなことを実際に証明できるのでしょうか?
ロジャー・ペンローズ博士は、そのビッグバン以前の宇宙の痕跡を発見する研究を以前に発表しています。
その鍵となるのが、今回のノーベル賞物理学賞の主題にもなっているブラックホールなのです。