宇宙飛行士52人の血液から「腸の変化」を探る
宇宙飛行士に便秘が起こりやすいことは以前から知られていました。
しかし、なぜ宇宙へ行くと腸の状態が変化するのか、その詳しい仕組みは十分に分かっていません。
そこで研究チームが注目したのが、血液に含まれる「代謝物」です。
代謝物とは、私たちの体内で起きる化学反応によって生じる小さな分子で、中には食事や人間自身の代謝だけでなく、腸内細菌の活動を反映するものもあります。
つまり血液を詳しく調べれば、腸の中で細菌がどのような活動をしているのか、その痕跡を間接的に読み取れるのです。
研究では、2006〜2018年に国際宇宙ステーション(ISS)へ2〜9カ月滞在した52人の宇宙飛行士を対象としました。
男性41人、女性11人から宇宙飛行前、滞在中、帰還後に採取された合計488件の血液サンプルを分析しています。
さらに研究チームは、特定の物質だけを狙って調べるのではなく、血液中のさまざまな代謝物を幅広く探索する「非標的メタボロミクス」という方法を用いました。
その結果、宇宙飛行によって変化するおよそ40種類の化合物が見つかりました。
中でも目立っていたのが、腸内細菌による「タンパク質の発酵(protein fermentation)」と関係する代謝物です。
宇宙滞在中には、こうした物質が一貫して増えていました。
では、宇宙に行くとなぜ腸内細菌によるタンパク質の発酵が増えるのでしょうか。
より詳しい結果を次項で見ていきます。
































