低糖砂糖で作ったクッキー。味も風味も変わらない
低糖砂糖で作ったクッキー。味も風味も変わらない / Credit:DouxMatok
chemistry

まったく新しい人工甘味料が作成される「砂糖を50%カット可能」 (2/2)

2020.11.01 Sunday

前ページ甘みを感じる仕組みと従来の人工甘味料

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味蕾に接触しやすい新人工甘味料

新しい人工甘味料をつくる
新しい人工甘味料をつくる / Credit:DouxMatok

さて、私たちが甘みを感じるには甘味物質が味蕾に触れなければいけません。

では、砂糖やそれを含む食品を食べる時に、どれほどの砂糖が味蕾に接触するのでしょうか?

実は全体量のうち、たったの20%だと言われています。つまり、私たちが口にいれた砂糖の80%は味蕾を刺激することなく、直接胃の中に入っているのです。

私たちは砂糖がもたらす20%分の甘みを得るために、余分の80%の糖質を身体に取り入れていたのです。

この分野に着目したのがDouxMatokです。彼らは「味蕾に効率的に接触する」構造を研究することにしました。

粒子形状を工夫して、効率的に味蕾に接触させる
粒子形状を工夫して、効率的に味蕾に接触させる / Credit:DouxMatok

従来の人工甘味料のように、「新しい甘味物質をつくりだす」というものではありません。物質そのものは変えずに、砂糖の粒子形状を工夫して少量でも甘さを感じられることを目指したのです。

そして彼らは、この目的のために作られた無味のミネラルや繊維、タンパク質を糖分子でコーティングすることで、より多くの糖が味蕾に触れるようにしました。

実際、この技術で作られたサトウキビ糖の新人工甘味料は、サトウキビと同じ成分・甘味度ですが、糖度が30~50%も軽減されています。

さらに、この低糖砂糖を用いた食品は既に作られており、味も風味も変わらない低糖チョコレートクッキーなどが存在するのです。

低糖砂糖で作ったチョコチップクッキー
低糖砂糖で作ったチョコチップクッキー / Credit:DouxMatok

多くの人々が人工甘味料からサトウキビなどの天然甘味料に切り替えている中、天然素材を使用して糖度だけを減らせるこの取り組みは、非常に魅力的なものとなるでしょう。

現在この技術は24の特許によって確立されています。今後、DouxMatokは製菓メーカーと協力して低糖砂糖食品を商品化していく予定です。

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