パンデミックの終息後に他の呼吸器系感染症が増える可能性がある
今回の研究では、過去の疫学的データを用いたシミュレーションも行われ、長期に及ぶマスクをはじめとした防護習慣がもたらす副作用の予測もなされました。
研究者たちはまず、過去の呼吸器系感染症のデータと、コロナ禍により人々がマスクを着用するようになった以降の感染症のデータを比較しました。
結果は予想通り、マスクの着用は新型コロナウイルスの感染リスクを減らすと同時に、広範な呼吸器感染症も減少させていました。
この事実からは、一見してマスク着用がいいことづくめであるように思われます。
しかしスペイン風邪の後に起きた「弊害」をはじめとする長年の疫学的データに基づくモデルを適応すると状況は一変。
マスク着用をはじめとするコロナ禍に対する防護対策が、人間を過保護に陥れ、将来的により大規模なパンデミックや風土病、異常に長引く風邪、各種のアレルギーの蔓延を引き起こす要因になるという、予想が示されたのです。
上の図ではパンデミック中は発症数が減少していた雑多な呼吸器感染症が、パンデミック収束後、人々がマスクを外した瞬間から劇的に増える様子を示しています(しかも影響は10年以上続く)。
現在、私たちはマスクの効果を知り、マスクを万能の盾のように思い始めています。しかし今回の研究は、その過信の危うさと、副作用を示しています。
個人でできる対策には限りがありますが、自然の中で行う一人での散歩のときくらいは、マスクを外すことを考え始めてもいいかもしれません。
マスクをずっとする・しないの二択ではなく、時と場所を考えて柔軟に付け外しを許容できるような考え方が必要になってくるのではないでしょうか。
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