菌やウイルスとの自然な接触は免疫力を高めていた
近年の研究によって、森林の中を散歩したり、子供時代にペットを飼うことが、個人の免疫力を向上させることが知られるようになってきました。
自然環境や動物などに接することは、様々な菌やウイルスを体になじませ潜在的な免疫力を向上させるからです。
中途半端な無菌環境で育つくらいなら、多くの自然に接して育ったほうが健康にいいというのは、皮肉なことかもしれません。
ですが、新型コロナウイルスによって常にマスク状態を強いられるようになってきた現代人にとっては、この事実は単なる皮肉程度では済まされません。
マスクの着用や社会的距離をはじめとする非医薬的な防護習慣は、中途半端な無菌環境とみなすことができるからです。
マスクは新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染防御に役立つことは事実です。
しかし私たちの身の回りには無数の菌やウイルスが存在しており、長期間に及ぶマスクの着用習慣は、これら雑多な菌やウイルスに接する機会も同時に奪います。
これはすなわち、私たちの免疫能力から、本来ならば得られるはずであった日常生活での経験値が失われることを意味します。
同じような「弊害」は、1918年~1920年にかけて1億人以上が犠牲(当時の総人口は18億人)になったスペイン風邪の後にもみられました。
スペイン風邪を恐れて多くの人々がマスクをはじめとした防護手段をとった結果、ヒトに備わった潜在的な免疫力が低下し、スペイン風邪終息後に、他の感染症(はしかなど)の壊滅的な増加を引き起こす結果になったのです。
コロナ禍の時代、マスクは命を守る大切なアイテムです。しかし恒常的なマスクの着用という非自然な状態は、副作用が伴うようです。
この事実は、コロナ禍が起きる前から一部で流行っていたファッション目的の「マスク男子」や「マスク女子」などのブームにも危険が潜んでいる可能性があります。
最新の研究において日本人の新型コロナウイルスに対する免疫反応を分析した結果、「多くの日本人の新型コロナウイルスに対する免疫反応は、2回目の感染に対する反応」であることが示されています。
これは、現在のコロナ禍が起きる遥か以前から、毒性の弱いコロナウイルスが断続的に日本にもたらされており、日本人は今回の新型コロナウイルスに対しても、免疫の経験値の蓄積が進んでいたことを意味します。
このことは、発生源である中国において感染がいち早く収束した一方で、遠いアメリカやヨーロッパでは被害が拡大しているという事実と無関係ではないかもしれません。
もしマスクを恒常的につけていた場合、このような特殊な免疫反応と被害の軽減は期待できなかった可能性もあるのです。