あえて天敵に見やすい色に光る
1億年前、最古のホタルが誕生した白亜紀の夜は、原始的な哺乳類の活動時間でした。
私たちの祖先は恐竜たちが徘徊する危険な昼をさけて、夜の暗闇のなかでエサとなる木の実や昆虫を食べていたからです。
同じく夜に活動するホタルたちにとって、夜行性の哺乳類は最も厄介な天敵になります。
そこでホタルたちは光る色を赤から緑に変え、不味い味のする毒を体内に持つようになります。
夜行性の哺乳類にとって「緑色」は最も視認しやすい色でしたが、あえて捕食者に対して目立つことで
「不味いから食べるな!」
とアピールしていたのです。
この事実は、初期のホタルたちの発光は、捕食者に対する防御だったことを示します。
幸いこの戦略は成功し、ホタルたちは「成功した種」として、世界中に拡散していきました。
しかし、企業としての成功が必ずしも個人の利益につながらないように、種としての成功もホタルの個体としての成功にはつながりません。
ホタルのオスたちには別の血塗られた…いえ、この場合は光にまみれた種内競争が待っていたのです。