ネットのにわか知識で薬物使用
マジックマッシュルームとは、麻薬指定されているサイロシビン(サイロシン)を含有した幻覚作用を持つキノコの総称で、通常毒キノコに分類されるものです。
これらのキノコは、かつて日本でも観賞用として合法的に入手可能だったため、合法ドラッグなどと呼ばれて取引されていたことがあります。
しかし、これを快楽目的で服用し、中毒や事故、死亡した事例まで報告されるようになったため、現在では麻薬原料植物として所持や取引は規制されています。
ただ、比較的簡単に手に入った時代があったため、ネット上にはこのマジックマッシュルームを摂取するための情報が溢れています。
今回報告された男性の家族は、彼が処方されていた双極性障害の治療薬の使用をやめ、うつ状態と躁状態の循環を悪化させていたと述べています。
そんな不安定な状態だった男性は、サイロシビンがうつ病や不安神経症、薬物乱用の有望な治療薬であるというネットの情報を見て、双極性障害とオピオイド依存症(鎮痛剤依存)の症状を緩和するために、マッシュルーム茶を静脈注射したようです。
たしかに「Neuropharmacology」に2018年に掲載された論文では、医師がキノコに含まれるサイロシビンを静脈内注射することで精神疾患の症状を緩和したなどの報告がされています。
しかし、当然これは医学的監督のもと厳重に管理された用量で使用され、真菌も含まれてはいません。
男性はこうした報告や、それを伝えるネット記事などを中途半端に理解して、マジックマッシュルームのお茶をこした液を静脈注射してしまったようなのです。
その結果は、非常に悲惨なものとなりました。