生物の1日を決めるもの
朝起きて、夜眠るというように生物の生活は1日を基本に動いています。
体内もこのリズムに合わせて1日周期で体温をはじめ、体の機能を調節しています。
この1日のリズムは、光や温度変化のない環境でも機能していることがわかっており、生物の体内には何らかの時計に類似する機能があるようです。
このことから、1日のリズムを刻むメカニズムは「体内時計」と呼ばれています。
哺乳類の場合、視床下部の辺りに体内時計細胞があり、目から入った光が伝達されることで時間を調節します。
ヒトの体内時計の周期は、24時間より若干長いと言われています。そして人間の体内時計は、朝の強い光を浴びると早められ、夜の弱い光が遅らせる方向に働きます。
この作用によって、人間は季節による日の変化や、地域による時差に体内時計を対応させているのです。
では、この体内時計はどのように24時間周期を生み出しているのでしょうか?
最近の分子生物学の研究によると、体内時計細胞の中には時計遺伝子というものがあり、これが合成する時計タンパク質が関係していると言われています。
時計タンパク質は、何らかの化合物や光の作用によって、結合や分解を行っており、これが時間のリズム信号を生んでいるのです。
しかし、1日というのはかなり長い周期であり、これを安定して刻む具体的な仕組みは謎に包まれていました。
今回の研究チームは、ヒトの培養細胞を用いた大規模な解析により、この1日周期を生み出す謎の多い化学的メカニズムを明らかにしたのです。