1日のリズム周期を操作する
研究チームは、この大規模な解析の結果、1日の周期を延長させている新しい化合物を特定しました。
この化合物は、化学式は同じでも3次元的な構造の異なる、シス体とトランス体という2つの形状を持っています。
これは光に反応して構造を変化させることができ、紫外光を当てるとシス体に、白色光を当てるとトランス体に変化しました。
そして、シス体は安定性が1日以上と非常にに高く、時計タンパク質と相互作用するのですが、トランス体では時計タンパク質と相互作用しなかったのです。
研究チームはこの化合物に予め紫外光を照射して、ヒトの培養細胞に投与してみました。
すると、光を当てなかった場合に比べて1日のリズム周期が延長される事がわかりました。そして、ここに白色光を当てると周期延長の効果が消失したのです。
つまり、照射する光の種類によって、チームは概日リズム周期を可逆的に操作することに成功したのです。
これまでよくわかっていなかった、強い光を浴びることで起きる生物の体内時計を調節するメカニズムの一端が、ここから明らかになりました。
この成果は、今後、体内時計の機能が乱れたことで睡眠障害を起こしている人の治療などに役立つ可能性があります。
また時計タンパク質は、メタボリックシンドロームやがんといった疾患とも関連していることが指摘されています。この研究はこれらの疾患治療に対しても有効な解決策を提示できるようになるかもしれません。
現代は、人工の光が溢れ、遊ぶコンテンツも多いせいで、体内時計が狂いまくってるという人も多いでしょう。
もしかしたら、そういう状態も速やかに解消できる方法が近い将来生み出されるかもしれませんね。