遠隔操作可能な脳制御チップ
近年の急速な脳科学の進歩により、脳と機械との急速な融合が進んでいます。
精神を操作する神経インプラントは、ブラックボックスとされてきた脳機能を解き明かす強力な研究ツールになるだけでなく、医学的な用途にも利用でき、人類の未来に多大な影響を与える可能性を秘めています。
ただ既存の神経インプラントは主に電池で動いており、電池切れとなると再び頭蓋骨を開いて電池を交換する必要があります。
そこで研究者たちは今回の研究に先立ち、プロトタイプと言える複合機能を備えた制御チップを開発しマウスの脳に取り付けました。
このプロトタイプは電磁波を使ったワイヤレス充電が可能であり、電池交換のたびにマウスに苦痛を与えずにすみます。
また脳の刺激に電気ではなく、チップから伸びるファイバーが発する「光」を使います。
通常、脳細胞は光には反応しませんが、チップが移植されたマウスは遺伝子に細工がほどこされており、特定の脳細胞が光によって機能のオン・オフができるようになっています。
またプロトタイプチップには4種類の異なる精神薬を含んだカートリッジも組み込まれています。
このカートリッジは内部の精神薬を使い果たしても、簡単に交換することが可能となっており、永続的にマウスに薬を投与することが可能です。
さらに、従来の脳制御チップにはなかった通信機能も組み込まれており、スマートフォンアプリによって遠隔制御ができるようになっています。
研究者たちは世界のどこにいても、好きな時にマウスの脳細胞の機能をオンまたはオフにし、4種の精神薬を希望する量だけマウスの脳に注入することが可能となったのです。
この新たな多機能脳制御チップは脳科学にとって画期的な実験ツールと言えるでしょう。
ですが今回、研究者たちはこの多機能チップにさらなるバージョンアップを行いました。
いったいどんな進歩があったのでしょうか?