新種は「異常巻きアンモナイト」の仲間
本研究では、計8点のエゾセラス属の化石が採取され、すべて新種と特定されています。
エゾセラス属は、コニアシアン期に生息した「異常巻きアンモナイト」の一種です。
異常巻きアンモナイトとは、らせん状の殻の各層が解けて間隔のあいた形のものを指します。
エゾセラス属は、これまでに1977年に発見された、「エゾセラス・ノドサム (Yezocera nodosum)」と「エゾセラス・ミオチュバキュラータム(Yezocera miotuberculatum)」の2種が知られていました。
今回の「エゾセラス・エレガンス」は、らせん状の殻が互いに接していない、各層の下部に2列の突起があるなど、既存種と形態的に大きく違うことから新種と考えられています。
調査の結果、3種の中では、エゾセラス・ノドサムが最も古くに出現し、次いで新種のエゾセラス・エレガンスが登場したことが判明しました。
研究チームは「新種は、ノドサム種から派生した可能性が高い」と指摘します。
一方で、最も遅く出現したミオチュバキュラータム種が、ノドサムから直接派生したのか、あるいはエレガンスを経由したのかはわかっていません。
なお3種の化石は、いずれも北海道にあるコニアシアン期の地層から出土しており、「エゾセラス属はこの地域の固有種として、短期間で独自に種内進化したのでは」とも推測されます。
エゾセラス属の他にも、同時代の太平洋北西域にいた異常巻きアンモナイト類は、なぜか固有種が多いことで有名です。
それと対照的に、正常巻きのアンモナイト類は、世界に広く分布していました。
こうした違いが生まれた理由は、依然として謎に包まれています。
同チームは「エゾセラス属をはじめ、異常巻きアンモナイト類の進化傾向や形態変化の関係性を調べていくことで、その謎に答えられるかもしれない」と述べています。