出産用として「チェーンソー」が誕生
帝王切開をしなければならない機会は、それ以後も世界各地で多々ありました。
しかし、専用の器具がないため、時間もかかる上に妊婦の苦痛は大きくなります。
そこで18世紀後半、2人のスコットランド人医師、ジョン・エイトケンとジェームズ・ジェフリーが、帝王切開を素早く行うための器具を発明しました。
それが「チェーンソー」です。
現代の帝王切開は、下腹部を縦か横方向に切って胎児を取り出すのですが、この時は違いました。
当時は、外陰部の上にある恥骨を切って骨盤を広げることで、引っかかっている胎児を取り出していたのです。
チェーンソーは、この作業を効率化させる道具でした。
想像するだに痛々しいですが、従来のナイフやハサミより、時間も大幅に短縮でき、それに伴う苦痛も軽減できたのです。
その後、チェーンソーは四肢の切断手術にも有用であるとして、19世紀まで医療器具として使われました。
しかし、麻酔剤や安全な帝王切開の登場により、チェーンソーはどんどん下火にあり、医療分野から姿を消していきます。
そして1905年になって、チェーンソーは木材伐採のために機械化され、現在の形になりました。
一番恩恵を受けているのは、ホラー映画界かもしれませんが。