トリプトニドは精子を変形させる
なぜトリプトニドは避妊薬としての効果があるのか?
謎を探るため、研究者たちは顕微鏡を覗き、トリプトニドを摂取したオスたちの精子を確認することにしました。
すると、奇妙な事実に気が付きます。
トリプトニドを摂取したオスたちの精子は、
「頭部がないもの、尾がないもの、異常に肥大したもの、尾部がコイル状になっているもの」
といった、著しい変形(奇形)を起こしており、前方に向けて泳ぐ能力がほぼ完全に失われていることが判明します。
また、この奇妙な変形が「いつ・どこで」起きたかを調べた結果、精巣において精子生産における仕上げの段階で起きていたことがわかりました。
さらに追加の研究で、トリプトニドには遺伝子の変異を引き起こすような、DNA二本鎖の切断を引き起こさないことも確認されました。
これらの結果は、トリプトニドは生殖細胞に対して遺伝毒性を与えず、精子の変形を通して遊泳能力だけを変えていることを示します。