92ミリグラムの金球の重力場を測定する
一般相対性理論と量子力学を統一するためには、それぞれの理論がどこまでカバーしているのか正確に知っていなければいけません。
つまり、一般相対性理論と量子力学が適用される質量の境目が分かれば新たな道が開ける可能性があるのです。
そこで研究チームは一般相対性理論とこれに含まれるニュートンの法則が、どこまで小さい物体で観測されるか調査することにしました。
しかし小さい質量から生じる重力は、当然ながら非常に小さいはずです。
地球の重力やその他さまざまな要因の影響を受けずに測定するのは難しいのです。
そこでチームは18世紀、英国の科学者ヘンリー・キャヴェンディッシュ氏によって設計された装置を応用しました。
新しい装置では、それぞれ半径1ミリメートル、重さ92ミリグラムの金球が3つ使用されました。
それぞれの金球は①質量・重力をテストするため(上の画像でmt)、②バランスを取るため(ma)、③近づけて重力相互作用を検知させるため(ms)に使用されました。
まず①と②が水平のガラス棒に取り付けられます。次いで、①に③を近づけて重力相互作用が働くか観察しました。
ガラス棒に取り付けられた鏡とレーザー光の反射によって小さな動きを把握。発生した重力場を検知できます。
ちなみに実験では、電磁的作用が働かないようにファラデーシールドを使用。また、装置そのものを真空チャンバーにいれ、音響および地震の干渉を防ぎました。