南アフリカの国立公園で迎えた百獣の王の「最期の瞬間」が「泣ける」と話題を呼んでいます。
その日野生動物たちの姿をカメラに収めていたフォトグラファーのラリー・パンネル氏は、水辺に佇む一頭のライオンをみつけます。しかしその姿は「百獣の王」と呼べるものではありませんでした。
左後ろ脚が妙な角度に折れ、水を飲み終えると立ち上がることにも一苦労。まさに「骨と皮」の瀕死の状態だったのです。
やっとの思いで立ち上がったライオンは、呼吸を整えるために、何度も立ち止まりながら歩き始めます。彼に残された時間が長くないことは誰の目にも明らかでした。
するとそのとき、小さなゾウの群れが水場に現れ、体の熱を冷ますために水浴びを始めます。
ゾウははじめライオンに気がつきませんでした。しかし、ある一頭のゾウがその存在を確認するやいなや、耳をばたつかせ足を踏み鳴らし、仲間に危険を伝えます。
若いライオンであれば、力いっぱいに吠えてゾウと対峙するところですが、彼にそんな力はもう残っていません。彼にできることは、ゾウに背を向けて弱々しく逃げることだけでした。
ゾウから逃げ切ったライオンは、疲れ果て動けなくなり、木陰に横たわります。彼の死を確信したパンネル氏は、ライオンに触れそうな距離まで近づいて見守ります。苦しそうに胸で息をするライオン。けいれんした耳。そして彼はそのときを迎えます。
後に彼が “スカイベッド・スカー” といった名を持つ、長年に渡ってこの場所を治めていたライオンであることがわかりました。彼はこの広大な土地の中で自由に生き、自由に死んだのです。
via: travelguideandphotography / translated & text by なかしー
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