寒さは内臓筋を熱発生脂肪に変換する
エネルギー貯蔵庫である白色脂肪の増加にはとにかく食べればいいことはわかっています。
しかし熱発生脂肪を生成・増加させる効果的な方法は詳しく知られていません。
判明しているのは、熱発生脂肪が「寒さ」に敏感に反応して熱発生量を増やす性質があるということです。
そこで今回、ハーバード大学の研究者たちは、様々な温度環境で育てられたマウスの熱発生脂肪に対して先進的な分析(シングルセルシーケンシング)を行い、個々の脂肪細胞がどんな遺伝子をどれだけ働かせているかを網羅的に探索しました。
結果、寒い環境で育ったマウスの「平滑筋細胞」が熱発生脂肪にフォームチェンジしていた痕跡を判明します。
平滑筋は内臓や血管に存在する意図的に動かせない不随意筋の一種です。
また興味深いことに、フォームチェンジを起こした平滑筋細胞には元から、痛みや温度などの有害な刺激を感知する受容体(Trpv1)が存在していました。
この結果は、急な寒さから体を守るために、内臓や血管の筋肉には、熱発生脂肪にチェンジする準備が事前にプログラムされていることを示します。
古くから「冬は体を温めるためにカロリーが消費され痩せやすい」との逸話が存在していましたが、今回の研究により、やせる原動力が、熱発生脂肪の増加であることが示されました。
そして研究者たちは、この結果こそ究極のダイエットのヒントだと考えました。