快感を感じる脳領域が委縮して永続的に快感が得られなくなる
研究者たちが早期認知症(前頭型と側頭型)を患っている人々の脳をMRIで調べた結果、非常に衝撃的な結果が現れました。
早期認知症患者の多くが、「快感の源泉」というべき複数の脳領域(眼窩前頭皮質と前頭前野、島皮質、被殻)に、委縮と細胞の死滅を起こしていたのです。
快感を得る脳領域での萎縮や細胞の死滅は、生涯に渡り、快感を得ることを非常に困難にします。
この病状の進行を遅らせるためには、すみやかな専門治療が必要となります。
しかし、モチベーションの低下は主にうつ病の診断基準となっているため、これまで早期認知症がうつ病と混同されていた可能性があるのです。
今回の研究が発見した事実は、暗い話題のように思えます。
しかし重要なのは、今回の成果により「うつ病」と「早期認知症」をMRI画像から見分けられるようになったということです。
単なる「うつ病」の場合、原因は神経伝達の不調であり、脳の萎縮や細胞の死滅は、それほど顕著ではありません。
一方、早期認知症では快楽にかかわる脳の複数に特徴的な萎縮パターンがみられたからです。