快感を感じないのは「うつ病」よりもキケンな症状のせいかもしれない
うつ病では、快感の喪失(無快感症)がよく見られます。
私たちの脳は通常、美味しい食事やきれいな夕日といったささいな出来事に対しても快感の回路が反応し、満足感や喜びをもたらしてくれます。
しかし無快感症に陥っている人はそれができません。
そして無快感症になってしまうと、モチベーションも低下します。
人々が何かをしたいと思う時は、喜びや興奮を得たいという動機付けがされますが、喜びも興奮も感じられない人々にとって、行動する動機など生まれようがありません。
結果「何をやっても楽しくないのだから、何もしない」という選択を常にとってしまいます。
しかし今回、オーストラリアのシドニー大学の研究者たちにより、無快感症がうつ病以上に、早期認知症と密接に関連していることが確認されました。
研究チームは、認知テストを用いて快感を感じる度合いを病状ごとに調査しました。
すると、健康な人やアルツハイマー病の患者では無快感症がそれほどみられなかったのに対して、早期認知症の代表的な型(前頭型と側頭型)では有意な快感レベルの低下が確認されたのです。
しかも、これはうつ病よりも重要な脳の異変を起こしていました。
早期認知症では、快感を感じるために必要な脳領域が委縮して、快感を発生させる細胞たちが死滅していたのです。