徐々に体をペラペラに進化させた?
研究チームは、カレイ目の新たに構築した10種類のゲノムと、すでに公開されている8種類のゲノムを比較解析。
その結果、カレイ目の全2亜目、「カレイ亜目(Pleuronectoidei)」と「ボウズガレイ亜目(Psettodoidei)」は、単系統(=ある祖先とその子孫すべてを含む種の集合体)のグループを形成しておらず、それぞれがスズキ目の祖先から独立して進化したことが示されました。
つまり、カレイ目の祖先は、海中を泳ぐ左右対称の体を持った魚ということです。
また、カレイ目は進化の過程で、視覚、免疫反応、低酸素耐性、心臓機能に関するいくつかの遺伝子を大きく変化させていることも判明しました。
これは海底への適応において、視覚、免疫、呼吸器、循環器系が改造されたことを示唆しています。
それから、筋骨格の発達や脂質の蓄積に関する遺伝子にも顕著な変化が見られました。
ある脂肪関連遺伝子を調べたところ、脂質の酸化が速く、脂肪蓄積が減少していることが示されており、カレイ目の扁平なボディプランの発展に関連していると思われます。
さらに、分泌性糖タンパク質(Wnt)とレチノイン酸(RA)のシグナル経路に属する複数の遺伝子も明瞭な変化を起こしていました。
WntとRAは、魚の正常な体軸形成(左右対称性)に重要な役割を果たすもので、これらの変化はカレイ目が非対称なボディプランを発達させたことを説明しています。
本研究から、カレイ目は左右対称の体を持つ祖先から進化し、環境の異なる海底に適応するため、遺伝子を大きく変化させたことが分かりました。
一方で、まだすべてが解明されたわけではないため、チームは今後も研究を継続する予定です。