プラナリア
プラナリア / Credit:Depositphotos
biology

「死なない生物」プラナリアの新たな生態が明らかに、目がなくても光を感じられる

2021.05.06 Thursday

小川などに生息するプラナリア(学名:Tricladida)は、体を切断してもそれぞれの部位が再生することで有名です。

例えば、プラナリアを頭部、腹部、尾部に三等分すると、頭部からは腹部と尾部が、腹部からは頭部と尾部が、尾部からは腹部と頭部が再生し、結果的に3匹になります。

最近、インド・ハイデラバード大学の生命科学部に所属するアカシュ・グリニー氏ら研究チームは、頭部を切断されたばかりの「目をもたないプラナリア」が太陽光の一部「紫外線」を検知できると発表しました。

僅か数ミリのプラナリアは目がなくても光が見えるのです。

研究の詳細は、5月3日付けの科学誌『PANS』に掲載されました。

Decapitated worms ‘see’ with their headless bodies https://www.livescience.com/decapitated-worm-sees-with-its-body.html
Discovery of a body-wide photosensory array that matures in an adult-like animal and mediates eye–brain-independent movement and arousal https://www.pnas.org/content/118/20/e2021426118

頭部がなくても紫外線を感知して逃げる

プラナリアは複雑な器官をもたない軟体生物です。

頭部には2つの目があり、として機能する神経節に繋がっています。

ところが新しい研究によると、頭部を切断したプラナリアがいわゆる「脳も目もない状態」で、紫外線を感知できると判明。

これは感タンパク質オプシン(英訳:opsin)」の働きによるものであり、プラナリアの体にはオプシンを生産する細胞が含まれていたのです。

体の抹消部位では2種類のオプシン「NC R-opn 1」「NC R-opn 2」が発現しており、この2つが紫外線を感知。

次いで照射された光から離れるように移動します。

実際、複数に切断されたプラナリアは頭部をもつ個体も、もたない個体もそれぞれが紫外線から逃げるように移動しました。

次ページプラナリアは休止状態でも紫外線から逃げる

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!