平凡な運転でも人間は「過覚醒」を起こしていたと判明!
現代に生きる私たちにとって、加速感は珍しい感覚ではありません。
車やエレベーター、ジェットコースターに乗れば、誰でもあの独特な感覚を味わうことができます。
しかし人類の進化スケールにおいて、車やエレベーター、ジェットコースターが現れたのは極最近と言わざるをえません。
人類の本能にとって、機械による「加速」は、本来ならば感じ得ないはずの未知の感覚なのです。
ですが加速が精神に与える影響は、ほとんど研究されていませんでした。
そこで今回、ヒューストン大学の研究者たちは「加速」が人間の精神に与える影響を、0から調べることにしました。
調査にあたっては、複数の被験者に街中を車で運転してもらい、交感神経の覚醒を示す不随意反応である「鼻周辺の汗レベル」を赤外線カメラで測定しました。
すると、非常に興味深い事実が判明します。
街中の何気ない運転であっても「加速」が行われるたびに、鼻の汗が増加して神経が覚醒することが明らかになったのです。
特に高速道路に入る瞬間や、信号が赤から青にかわって発信する瞬間は最も顕著な反応が現れました。
また反応の強度と覚醒度の関係を調べると、参加者の約半数の反応は「著しいレベルの覚醒」を誘発するのに十分であることがわかりました。
なお、実験に参加したドライバーたちの多くは、豊富な運転経験を持っていました。
この結果は、ありふれた運転体験であっても、人間の精神にとっては強い覚醒を促す影響があることを示します。
また反応がベテランのドライバーからもみられたという結果は「加速」による神経の覚醒は高所への恐怖のように、慣れによって打ち消せない、本能的な反応であることを示します。
そうなると問題となるのは「加速」が精神に与える影響です。