大規模な日本人のコホート研究
座りがちな生活が、血行不良や代謝の低下を引き起こし死亡率を増加させるという話は、最近よく耳にします。
そのため、なるべき空き時間に運動しましょうなんて対策も聞きますが、これらの報告はどの程度信頼できるのでしょうか?
今回報告された研究では、J-MICCSTUDY(日本多施設共同コーホート研究)という、日本人6万4456 名(男性 2万9022名、女性 3万5434 名)を対象に、平均7.7年間も追跡した大規模な調査データが用いられています。
コーホート(またはコホート)研究とは、共通する因子を持った集団を観察する医学研究のことです。
大規模に行うほど、人々の間で広く共通して見られる傾向を明らかにすることができます。
京都府立医科大学大学院医学研究科 地域保健医療疫学 小山講師らの研究グループは、この大規模なデータを用いて分析を行いました。
調査のポイントとなったのは、日中の座位時間と全死亡(すべての死因)の関係、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)の有無、余暇時間の運動量の関係でした。
その結果、次のことが明らかとなったのです。
まず、日本人の大規模研究として初めて、仕事時間と余暇時間を含むすべての日中座位時間について、長いほど死亡率と関係することが明らかになりました。
また生活習慣病の有無に関わらず、日中の座位時間が長いほど死亡率が高くなり、生活習慣病の保有数が多いほど、死亡率も高くなったのです。
そして一番驚きなのが、余暇の身体活動量を増やしても日中の座位時間の長さと死亡率の関連を、完全に抑制できないと明らかになったことです。