お前にこの世で最高の痛みをやろう
お前にこの世で最高の痛みをやろう / Credit:METAL GEAR SOLID 3,©2012 Konami Digital Entertainment
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痛みをリアルタイムで検出し軽減する脳インプラント

2021.07.04 Sunday

痛みは長年にわたって私たちを恐怖で支配してきました。

対処法として鎮痛薬が用いられてきましたが、これは副作用、依存症、および薬物耐性というデメリットがあり「諸刃の剣」です。

最近、アメリカ・ニューヨーク大学(New York University)医学部麻酔科に所属するジン・ワン氏ら研究チームは、マウスに脳インプラントを埋め込み、痛みを即座に検知・緩和させることに成功しました。

将来的にはヒトの痛みも緩和できるかもしれません。

研究の詳細は、6月21日付の科学誌『Nature Biomedical Engineering』に掲載されました。

A New Brain Implant Automatically Detects and Kills Pain in Real Time https://singularityhub.com/2021/06/29/a-new-brain-implant-automatically-detects-and-kills-pain-in-real-time/ Experimental brain implant instantly detects and relieves pain https://newatlas.com/science/brain-implant-instantly-detects-relieves-chronic-pain/
A prototype closed-loop brain–machine interface for the study and treatment of pain https://www.nature.com/articles/s41551-021-00736-7

脳インプラントで痛みの検出と緩和を可能に

現在、インプラントは神経活動を読み取って外部に抽出したり、身体の別の神経にバイパスしたりするために用いられています。

つまり、「脳 → 外部コンピューター」または「脳 → 手足」における「→」の部分を脳インプラントが担うわけです。

これにより、「脳でコンピューターを操作する」「麻痺患者が手足を動かす」ことがある程度可能になってきました。

脳に埋め込んだデバイスが神経活動を検知
脳に埋め込んだデバイスが神経活動を検知 / Credit:Depositphotos

そして今回開発された脳インプラントは、脳で生じる「痛み」の分野に焦点を当てています。

脳の2つの領域に脳インプラントがアクセスし、「脳(痛みを検出) → 脳(痛みを和らげる)」というプロセスを可能にするのです。

まず、電極アレイが痛み信号をリアルタイムで検出。

その情報は即座に脳の前部に埋め込まれたコンピューターチップに送信されます。

情報を得たチップは自動的に周囲を刺激し、痛み信号を無効にするニューロンを活性化させます

この脳インプラントは痛みが生じたときだけアクティブになるため、効率的な鎮痛方法だと言えるでしょう。

次ページマウス実験で痛みの軽減を実証

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