片頭痛持ちの人の脳では視覚と運動にかかわる情報の異常な処理が起きていた
今回の研究では、被験者たちをVRジェットコースターで酔わせると同時に、MRIを用いて脳の活性度が調べられていました。
強制的な乗り物酔い状態にすることで、片頭痛持ちの人にだけみられる脳の反応がみられた場合、治療薬のターゲット(活性化や抑制化)になる可能性があるからです。
研究者たちがMRIによる脳の活動を調べたところ、片頭痛持ちの人の脳内では、視覚やバランス感覚、車両運転など感覚的な運動を司る領域(視覚運動野)において異常な活性化がみられました。
また被験者が感じた乗り物酔いレベルが強ければ強いほど、脳の異常な活動のレベルが大きくなる傾向がありました。
一方、興味深いことに、注意力など認識能力にかかわる領域では、活動量の低下がみられました。
この結果は、片頭痛持ちの人の脳内では、視覚や動きにかかわる情報処理や、物事の認識能力に何らかの異常が起きていることを示します。
そしてこの異常な情報処理は乗り物酔いやめまいを生じさせ、時間を置いて頭痛を誘発していたようです。