VRジェットコースターに35分間連続で乗った結果「片頭痛」患者が乗り物酔いしやすい理由が判明!
VRジェットコースターに35分間連続で乗った結果「片頭痛」患者が乗り物酔いしやすい理由が判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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片頭痛の仕組み解明のため「人をVRジェットコースターに35分間乗せ続けた」研究

2021.07.23 Friday

VRによる地獄の耐久テストが医学的な進歩をもたらしました。

7月21日、ドイツのリューベック大学の研究者たちにより『Neurology』に掲載された論文によれば、VRジェットコースターを用いた35分間の耐久実験を行った結果、片頭痛患者では脳内の視覚運動野で異常な活性化が起きていたとのこと。

また異常な活性化が大きかった人ほど、めまいや乗り物酔いの症状が強く出ていました。

どうやら片頭痛の原因には、脳内での「異常な情報の処理」がかかわっているようです。

いったいどんな仕組みで情報処理の異常が頭痛を引き起こすのでしょうか?

What Can a Virtual Roller Coaster Ride Teach Us About Migraines? https://www.technologynetworks.com/neuroscience/news/what-can-a-virtual-roller-coaster-ride-teach-us-about-migraines-351171
Brain Processing of a Visual Self-Motion Study in Patients With Migraine: An fMRI Study https://n.neurology.org/content/early/2021/07/20/WNL.0000000000012443

片頭痛患者はVR世界のジェットコースターにも酔いやすかった

VR世界でジェットコースターの耐久レースが開催された
VR世界でジェットコースターの耐久レースが開催された / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

現在の日本では、全国民の8.4%が片頭痛を患っています。

また片頭痛患者の70%以上の人々が、痛みが日常生活に支障をもたらすレベルであると回答しています。

しかし片頭痛が発生するメカニズムは詳しくわかっておらず、治療も鎮痛剤の服用や生活習慣の改善など、症状の緩和策に限られているのが現状でした。

一方で、片頭痛持ちの人には頭痛以外にも、乗り物に酔いやすいという、不思議な特性が知られていました。

そこで今回、ドイツのリューベック大学の研究者たちは、片頭痛持ちの人と健康な人の両方を、VR世界のジェットコースターに35分間連続で乗せてみることにしました。

結果、健康な人の30%が乗り物酔いになったのに対し、片頭痛持ちの人の発症率は倍以上の65%にも及びました。

また乗り物酔い状態になった場合、片頭痛持ちの人は健康な人に比べて、症状の強さは2倍、持続時間は3倍近くになりました。

さらに片頭痛持ちの人の40%が、実験後48時間以内に片頭痛の発作が起きていたことが確認されました。

なお実験に参加した患者の1カ月当たりの片頭痛の発生回数は3.7回であり、VRジェットコースター搭乗中の発作回数は0回でした。

この結果は、片頭痛持ちの人は、現実と同じくVR世界でも乗り物に酔いやすく、時間を置いて片頭痛の発作を誘発していることを示します

ですが、より興味深い違いはの活性パターンにありました。

次ページ片頭痛持ちの人の脳では視覚と運動にかかわる情報の異常な処理が起きていた

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