ラットの友情は上下関係を超えているかもしれない
ラットの友情をどのようにして数値化するか?
研究者たちが着目したのは、個体間の距離でした。
さまざまな種が多様な方法で互いの友情を示しますが、ほとんどの場合、友情が強いほど個体間の距離は近くなります。
そこで研究者たちはラットたちの行動を3カ月間に渡り撮影し、個体間の距離に偏りが出るかを調べました。
結果、オスのラットには距離に大きな偏りがあることが判明します。
また興味深いことに、偏りには正と負の両方がありました。
つまりオスのラットたちは好ましい個体との距離を縮める一方で、嫌いな個体とは明らかに距離を置いていたのです。
また個体間の好みは、グループ内の序列順位とは無関係であることも判明します。
ラットのオス社会にも社会的な順位が存在しますが、実験室という人工的な環境にすむラットたちにとって「友情」は順位を超えたもののようです。
一方、興味深いことに、ラットのメスではオスたちにみられたような個体間の距離に有意な差はみられませんでした。
研究者たちはこの奇妙な性差について「予測できない驚きだ」と述べています。