グループとしての仲間意識と個体間の友情は別物
これまでの研究により、哺乳類や鳥類などの多くの種に、強い社会性があることが知られています。
社会性を持つ動物はグループ内で結束することで、危機に対する相互補助など、個人では達成不可能な利益を得られます。
例えば、最近行われた研究では、ラットは危機に陥った仲間を積極的に助ける一方で、見知らぬ他人は見捨てることが判明しています。
しかしグループとしての仲間意識と、個人的な友好関係は微妙に異なる概念です。
仲間意識は強くても個人的な関係が最悪である集団は、人間社会以外にも存在します。
にもかかわらず、既存のラットの社会性研究のほとんどは、グループとしての仲間意識に焦点をあてたものばかりであり、ラットの「友情」については詳しくわかっていませんでした。
そこでポーツマス大学の研究者たちは、ラットの個人的な交友関係の解明を試みました。
ただ問題は、どうやってラットの友情を数値化するかでした。
人間と違って個人的関係の優先度をラットに聞くことはできませんし、友情の示し方は種によってさまざまです。
研究者たちはどんな方法で、ラットの友情を測定したのでしょうか?