友情の数値化は、友情の源泉回路をさぐる手段となる
今回の研究によって、ラットのオスには特定の個体好み、別の個体を避けるという人間の「友情」によく似た概念があることが示されました。
また個体間の好みは社会的順位に影響されない、純粋なものであることも判明します。
どうやらラットのオスは、気が合う同士ならば社会的身分を超えて、一緒にいることを選ぶようです。
ただ今回の研究はあくまで実験室で飼われているラットの習性を示すものであり、野生のラットにも同じ結果が当てはまるかは不明とのこと。
ですが世界中の実験室で飼われているラットは2000万匹を超えると考えられており、実験室はラットという種にとって第二の故郷になっています。
そのため本研究の成果の適応範囲は非常に広大であると言えるでしょう。
特に社会関係における心理的ストレスを調べる研究の場合、友情が与える影響を考慮する必要が出てくる可能性があります。
またラットの友情を数値化する方法が確立されたことで「友情」という概念がラットの脳のどこに起源を発し、制御するにはどうしたらいいかなど、さらなる研究に応用されると期待されます。