濡れた岩やクジラの皮膚にも貼り付けるフジツボの秘密
自然界に生息するフジツボは、海岸の岩肌やクジラの皮膚など、濡れた表面にも強力に接着できることが知られています。
その接着能力の詳細は不明のままでしたが、2018年になってついに解明されました。
フジツボは水に弱い接着成分を水を弾く油で包み込んだ状態で分泌することで、濡れた岩やクジラの皮膚などの表面にある水や汚染物質を押しのけ、接着を可能にしていたのです。
そこで今回、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者たちは、このフジツボの仕組みを止血剤に取り入れました。
具体的には、既存の吸水素材(ポリアクリル酸)を含んだ瞬間接着剤(NHSエステル)を医療用シリコンオイルに混ぜてペースト状にしたものになります。
研究者たちはこの新たな接着剤を早速テストしてみました。
結果、非常に有望であることが判明します。
新しい接着剤は、上の動画のように、激しい動脈からの出血モデルに対して、ペーストを塗り込んで15秒ほど押さえることで、ほぼ完全な止血が成し遂げました。
また上の動画のように、生きているブタの肝臓に対して行ったテストでも、瞬時の完璧な止血に成功します。