どんなに激しい出血でも15秒で止血できるフジツボをヒントにした接着剤が開発!
どんなに激しい出血でも15秒で止血できるフジツボをヒントにした接着剤が開発! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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「フジツボ」からどんな出血も15秒で止血できる接着剤を開発

2024.07.26 Friday

失血死がなくなるかもしれません。

2021年8月9日にMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者たちにより『Nature Biomedical Engineerting』に掲載された論文によれば、動脈などからの激しい出血がある状態でもわずか15秒で止血できる接着剤の開発に成功したとのこと。

新たに開発された接着剤はフジツボが濡れた岩やクジラの皮膚に、くっつくために使う仕組みを参考に作られており、水気によって「ヘタる」ことなく、瞬時に止血が可能です。

実用化されれば、古くから死因の上位を占めてきた失血死を、激減させることができるでしょう。

新たな接着剤は、いったいどんな仕組みで傷を塞ぐのでしょうか?

※本記事には血管モデルやブタの肝臓からの出血描写を含む動画が含まれておりますので、苦手な方はご配慮ください。

Barnacle-glue-inspired paste for rapid and coagulation-independent hemostatic sealing https://bioengineeringcommunity.nature.com/posts/barnacle-glue-inspired-paste-for-rapid-and-coagulation-independent-hemostatic-sealing
Rapid and coagulation-independent haemostatic sealing by a paste inspired by barnacle glue https://www.nature.com/articles/s41551-021-00769-y

医療が進んでも停滞していた止血技術をフジツボが切り開く

医療が進んでも停滞していた止血技術をフジツボが切り開く
医療が進んでも停滞していた止血技術をフジツボが切り開く / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

医療の進歩により、数多くの病気を素早く治せるようになってきました。

しかし止血技術だけは停滞したままでした。

現在使われている止血剤は血液が固まる速度を速めるための成分が含まれていますが、基本となる血液凝固は非常に穏やかなプロセスです。

そのためいくら早めたところで、動脈から噴き出るような、激しい出血に対しては無力でした。

そこで近年になって、傷口を強力な接着能力を備えたシールで防ぐ試みが行われるようになってきました。

ただ既存の接着剤の多くは水分に弱く、血にさらされることで接着能力が失われてしまいます。

接着剤にオムツなどに使われる吸水素材を混ぜるなど、水気の影響を抑える工夫がなされてきましたが、根本的な解決には至っていません。

しかし自然界には、水気をものともせず強力な接着を可能にする生物が存在しました。

その生物とは、誰もが良く知るフジツボです。

次ページ濡れた岩やクジラの皮膚にも貼り付けるフジツボの秘密

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