波打つ土星のリング
では、研究者はどうやって土星のコアの構造について明らかにしたのでしょうか?
惑星の内部構造を探る方法は、通常地球上では地震波を利用します。
惑星内部を伝わる振動を調べて、内部がどうなっているのか推測するのです。
今回の研究者であるカリフォルニア工科大学の理論天体物理学者ジム・フラー助教授と、彼のもとで研究を行うクリストファー・マンコビッチ博士は、まさにその地震波を利用したと語ります。
しかし、明確な地面も持たない遠い土星の地震を観測するとはどういうことなのでしょうか?
そこで彼らが利用したのが、土星のリングです。
カッシーニは2017年の運用終了まで、13年間にわたって土星を周回し、土星のリングについても多くのデータを取得してきました。
このデータには、土星のリングが波打っているという事実が含まれていたのです。
彼らはこれを分析しました。
土星のCリングの摂動には、土星の周囲を回る衛星の影響が考えられます。
しかし、彼らの分析では、その他に土星の重力場の変動から発生していると考えられる複数のパターンが確認されたのです。
「土星はほんのわずかですが常に震えています。
惑星表面はゆっくり波打つ湖のように、1~2時間ごとに約1メートル移動しているのです。
土星のリングは、地震計のようにこの重力の乱れを拾い、リングを構成する粒子を揺らしているのです」
マンコビッチ氏はそのように説明します。
彼らはこうして土星リングの揺れを地震計として利用することで、土星内部の様子を分析しそのパターンから内部構造をモデル化させることに成功したのです。
では、彼らの発見した土星の内部構造とはどういうものなのでしょうか?