脳は新規と習慣を競わせることで記憶を選別している
なぜ新しい記憶の定着に習慣がかかわっているのか?
謎を解くために研究者たちは習慣にかかわる線条体の領域(背外側 線条体)を詳細に調べました。
すると興味深いことに習慣にかかわる線条体には、本来の習慣を担う神経回路(D2-MSN、以下で慣習回路と呼びます)だけでなく、新しい学習に反応して活性化する別の神経回路(D1-MSN、以下で新規学習回路と呼びます)が存在していると判明します。
また興味深いことに、研究者たちがそれぞれの神経回路を刺激した結果、新規学習回路と習慣回路は一方が活性化すると他方は抑制されるという性質があることが判明。
そして長期記憶が形成されるときには、新規学習回路が習慣回路に対して優位にある必要があることが示されました。
この結果は、人間の脳には新しい学習内容を既存の習慣と競わせて、勝った場合のみ長期記憶として保存するような仕組みが存在する可能性を示します。