VR療法で社交不安症を改善できる
実験にはSAD患者25人が参加し、対照群となる健常者22人と比較されました。
まず対象者全員が自己参照処理に関する課題を行いました。
この課題では、中立・肯定・否定のいずれかの単語が提示され、それぞれの単語が自分にどの程度関連しているか選択するよう求められます。
そしてこの課題の最中、fMRIで対象者の脳活動が観察されました。
次に、SAD患者は6回のVR療法に参加。
彼らはVR上で、「見知らぬ人に自己紹介をする」という社交不安のシナリオを体験しました。
その結果、SAD患者は対照群と比較して、自己参照処理を司る脳領域の活性化が認められました。
さらに社交不安尺度(英文:Social Phobia Scale)のスコアが低下し、反芻思考も改善。
加えて、単語の認知を司る脳領域「舌状回(ぜつじょうかい)」に活動の変化が見られた参加者ほど、社交不安や反芻思考が改善していました。
これにより、VR療法が「肯定的な言葉を自分に関連付ける」ようサポートしたと考えられます。
今回の結果からチームは、「VR療法が社交不安症の治療に取り入れられる可能性がある」と述べました。
VRは現実ではないものの、現実に似た世界です。
この曖昧さが、対人関係の治療段階としては効果的なのかもしれませんね。
今後もVRの新しい可能性に期待したいものです。