パターンを見抜くのが得意な人は、逆に「柔軟な意思決定」が苦手な傾向にあった
パターンを見抜くのが得意な人は、逆に「柔軟な意思決定」が苦手な傾向にあった / Credit: canva
psychology

パターンを見抜くのが得意な人は、「柔軟な意思決定」が苦手な傾向がある

2024.05.21 Tuesday

物事の規則性やパターンを見抜く能力は「統計的学習」と呼ばれます。

例えば脳トレで、簡単な数式の羅列があり、その最後の数式の空白部分に当てはまる数字を答えるクイズがありますよね。

あれは数式の羅列からパターンを見つけ出すために統計的学習を使っています。

「そのクイズ、めっちゃ得意!」という方もたくさんいるでしょうが、しかし逆にそうした人は複雑な計画を立てたり、柔軟な意思決定をするのに苦労しているかもしれません。

フランス国立衛生医学研究所(INSERM)は最近、脳機能における「統計的学習」と「実行機能」の間に負の関係が働いていることを発見しました。

統計的学習が得意な人は実行機能が低く、反対に実行機能に優れている人は統計的学習が苦手なようです。

研究の詳細は2024年4月12日付で学術誌『npj Science of Learning』に掲載されています。

Scientists uncover a surprising conflict between important cognitive abilities https://www.psypost.org/scientists-uncover-a-surprising-conflict-between-important-cognitive-abilities/
Evidence for a competitive relationship between executive functions and statistical learning https://doi.org/10.1038/s41539-024-00243-9

IQパズルが得意な人は状況判断が苦手?

パターンを見つけるパズル問題の例
パターンを見つけるパズル問題の例 / Credit:The Jerusalem Post,MAARIV

チームは今回の研究の動機として、内の異なる認知システムがどのように相互作用しているのかを理解したいと考えました。

そこで焦点を当てられたのが「統計的学習」「実行機能」の2つです。

統計的学習は、個人が物事のパターンや規則性を見出し、それをもとに適切な行動を選び取る認知スキルを指します。

これは日常生活のあらゆるシーンで使われており、例えば、職場で先輩や上司の行動を観察し、どういう場合にどういう対応が適切なのかを理解したり、文章中の知らない単語に出くわすと、その前後の文脈から意味を推測したりするのに活用されています。

上に挙げたような数字を埋めるパズル問題などもそうです。

このように統計的学習は、目の前の対象からデータを収集し、そのパターンを認識するという点で機械的な思考に似ています。

統計的学習は機械的な考え方をする
統計的学習は機械的な考え方をする / Credit: canva

一方の「実行機能」は、ある目標の計画を立てて、それを達成するために自分の行動や思考、感情をコントロールしつつ、トラブルが起きれば適切な判断や意思決定を行う認知スキルです。

こちらは現在の状況の把握や自分の置かれている状態を俯瞰で観察して、臨機応変に対応する必要があることから、機械的でなく柔軟な思考となります。

チームはこの2つのスキルが相互に協調して働くのか、それとも片方が勝れば片方が劣るというように競合して働くのかを確かめようと考えました。

「統計的学習」と「実行機能」は両立できない

チームは同様の実験を2つのグループで行いました。

1つ目はフランス在住の健康な成人186名(35歳未満)を対象に、最初の2日間で統計的学習を測定するタスクを受けてもらいます。

それが終わった翌日、今度は認知の柔軟性や自己抑制、作業記憶などを含む実行機能を評価するタスクに取り組んでもらいました。

2つ目ではハンガリー在住の大学生157名を対象とし、先と同様に統計的学習を測定した後で実行機能の評価を行っています。

そしてデータ分析の結果、どちらの実験でも統計的学習と実行機能の間には一貫した「負の関係性」が確認されたのです。

要するに、物事のパターンや規則性を見抜くのに秀でた人は、複雑な問題解決や柔軟な意思決定が苦手な傾向にありました。

逆もまた然りで、柔軟な意思決定に優れている人は物事のパターンを学習するのが得意ではありませんでした。

「統計的学習」と「実行機能」は両立できない?
「統計的学習」と「実行機能」は両立できない? / Credit: canva

このことから脳内の異なる認知システムは、少なくとも「統計的学習」と「実行機能」においては、相互に協調するのではなく競合的に働いていることが示されました。

その原因としては、機械的な思考をする「統計的学習」と、柔軟で臨機応変な思考をする「実行機能」とで、それぞれ本質的に異なる認知能力が要求されるからではないかと考えられています。

例えば、文系脳と理系脳で得意な思考パターンがはっきり分かれるように、私たちは両方の認知スキルを高いレベルで同時に手にすることは難しいのかもしれません。

パターンを見抜くのが得意な人は、「柔軟な意思決定」が苦手な傾向があるのコメント

ピロ

多分、パズル問題の答えは19!

ふにゅ

3,15,58ときたら21でしょ

きょうあ

パズルの答えは19だと思う。
・1+2+(4)=7
・2+3+(6)=11
・3+4+(8)=15
・4+5+(10)=19
で、従って19が答えではないか。

    名無し

    (左辺)×2+1=右辺
    と言いたいのかな

@raolubo

何か思い当たる。素人見解としては「【柔軟な意思決定が苦手≒“半日程度覚えておけばいい記憶力”が低い】が先ずあって、これの補完として【比較的汎用性の高い情報を再利用することを獲得≒1日2日思考することで記憶できる情報を活用】に注力してきた」と思っている。

    ゲスト

    すんごいしっくり来た。元々苦手だから別の機能で補おうとする脳の特性にも合致するし。

ゲスト

物を買う時よく思う。AにすべきかBにすべきか?用途に合わせて機能を熟考するし、感覚で選ぶ人を本当にそれでいいのかと心配までしてしまう。我ながら面倒臭いと。

ゲスト

>そしてデータ分析の結果、どちらの実験でも統計的学習と実行機能の間には一貫した「負の関係性」が確認されたのです。

肝心のその中身については何の説明もなかったのですが笑

ぽんちゃん

パズルの答え自体は本質じゃないのに嬉々として答えてしまうのは実行機能が強いからなのかな

ゲスト

面白いですね、色々思い当たる。

「統計的学習」 最初にパターンありき。最適な道具を選び、最適な結果を出す。仕事にあった人を選ぶ。
「実行機能」  常に実行中。道具に合わせた柔軟な行動をして、今ある道具で最高の結果を出す。人にあった仕事を作る。

賢者と勇者。

    ゲスト

    この要約、分かりやすいですね!
    自分は統計学的学習の方ですね。こんな道具でちゃんとした仕事なんかできるかい?!とか、ぶつくさ言う人間です。
    自分とは違って、ちゃんとした道具がないのに何とかしてしまう人はすごいなと思うことがあります。
    ただ今ある道具、人で何とかし続けるのも限度があるのよね。単純作業しかできない人に単純作業ばかりさせることも機械化が進んだ現代では難しいものがある。

しんたん

19だよね。
答えの数字に、次の数字を足す。
1+2=3 → 3+4=7

なので、
4+5=9 → 9+10=19

例えば
9-8だったら、
9-8=1 → 1+2=3
だろうね。

ゲスト

生まれつきの素質なのか、後天的な獲得能力なのか…その辺も気になる

ゲスト

面白いなぁ。
確かに私も計画を立てるとかめんどくさいからあんまり得意じゃないな。

xls-hashimoto

パズルの答えは19だと思う。
・1+2×(3)=7
・2+3×(3)=11
・3+4×(3)=15
・4+5×(3)=19
で、従って19が答えではないか。

ゲスト

左辺を足した数を2倍にして+1したものかと思ったけど、
もっと単純に左辺を足したものに、次の数を足したものと捉えたほうが早いな。

ゲスト

×2して+1

ゲスト

19かな。

右辺は+4ずつ増加してる。

ゲスト

画像の規則性問題の答えは19だろ
1+2(+4)=7
2+3(+6)=11
3+4(+8)=15
4+5(+10)=19
こういう問題は統計的学習の他にも水平思考とか使わないといけないやつだろ
いわゆる可能性を広げて考える→答える
そういうことっすよね?

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