アルツハイマー病の増加と早期発見の必要性
アルツハイマー病を含む認知症は、年齢との相関が強いと言われています。
私たちが実感しているように、高齢者ほど認知症になる確率が高いのです。
しかも近年、生活水準の向上などさまざまな要素が原因で、世界の平均年齢は上昇してきました。
つまり今後も、認知症患者数は増加していくと考えられます。
しかもその原因の多くがアルツハイマー病であるため、アルツハイマー病の早期発見・治療が大切だと言えるでしょう。
ところが初期アルツハイマー病の見極めは、きわめて難しいようです。
なぜならアルツハイマー病の初期症状は、軽度認知障害(MCI)だからです。
これは「加齢に伴う自然な認知機能の衰え」と「認知症」の中間的な状態であり、本人や周囲の体感としては、「物忘れがあるものの、日常生活は問題なく送れる」くらいなのです。
当然、本人たちが気づくのは難しく、それは医療従事者たちも例外ではありません。
これまでの研究から、fMRIを利用してMCIが進行している脳領域を特定することが可能だと分かっています。
ところが脳画像を手作業で判断するには、高度な専門知識が必要なだけでなく、非常に多くの時間が必要になります。
そこで研究チームは、機械学習ツールを用いてアルツハイマー病を発見しようとしました。