ワクチンが完全に無駄になるわけではない
今回、WHOにより注意すべき変異体(VOI)のリストにミュー株が加えられました。
WHOはリスト入りした変異体に対して各国に情報収取を要請することができるため、遠くない将来、ミュー変異株の感染率や毒性が明らかになるでしょう。
では、ミュー株のような厄介な変異体を、今後出現させないためにはどうしたらいいのでしょうか?
ここで注目すべき事実は、ミュー株が発生した1月のコロンビアでは、ワクチン接種がほとんど進んでいなかったという点があげられます。
つまりミュー株の誕生そのものは、ワクチンに対抗した結果というわけではなく、偶然発生して広がった株が、たまたまワクチン逃れの変異を含んでいたと考えるのが妥当です。
ウイルスの変異はランダムで発生するため、人類に危険な変異体がうまれる頻度は、母数である感染者数に依存します。
そのためワクチン接種によって母数を叩くことができれば、変異そのものを減らすことが可能になるのです。
全人類のほとんどがワクチン接種を終えた未来の世界では、研究者たちが予測するように、今度こそ本当にワクチン逃れのための変異(選択圧)が発生する可能性はあります。
しかし現在、多くのワクチン未接種者がいる状況では、ワクチン接種を加速させ、母数を叩くことが変異体の発生を抑制する最善の策と言えるでしょう。