2回のワクチン接種を終えたグループで発生した死亡率33%のクラスター
ミュー株が起こした最もショッキングな例も、ワクチン逃れを疑わせるものでした。
7月から8月にベルギーの老人ホームにて、2回のワクチン接種を終えたはずの21人がミュー株に集団感染。
3分の1にあたる7人が死亡してしまったのです。
現在猛威を振るっているデルタ株でも、ワクチンの効果を突破して死亡に至るケースが報告されていますが、ワクチン未接種者に比べると、死亡数は50分の1ほどまで減らせるとされていました(日本の場合)。
しかしベルギーで起きたミュー株によるクラスターでは、同じような死亡の抑止効果はみられませんでした。
データが小規模であるため、この事件だけでミュー株の危険性を判断するには十分ではありませんが、既存の変異株とは大きく異なる傾向が現れたのは事実です。
8月13日に『The LANCET Infection Diseases』に掲載されたミュー株を分析した論文では、将来的にはミュー株のようなワクチン逃れの変異体の出現は避けられないと述べられています。
現在、ミュー株の占める割合は感染者全体の0.1%(デルタ株が99%)に過ぎないながらも、ワクチン接種が進めば、ワクチン逃れの能力を持ったミュー株が有利なる環境ができあがるからです。
問題は、ワクチン逃れの能力を持つミュー株が、どれほどの毒性と感染力があるかです。